2008年7月28日月曜日

にんげんのくわいだん。

こう毎日暑いと、夕涼みがてらひとり怪談でもしてみませうか。

とはいえ、にきあ的怪談といえば、柳田國男の『遠野物語』付近の、いわゆる日本の土着の怪異伝承なんです。
生まれも育ちも福岡市内ですが、子供の頃は夏休み中のほとんどを、九州の陸の孤島とも言うべき山奥の祖父母の家で過ごしたせいか、そういうノスタルジックな原風景に弱いんだなー。

川の清冽な流れのなかにぽっかりできた淵の、底の見えない蒼さ。
夕暮れには決して墓地に近づいてはいけないと堅く言われたこと。
大人たちの問わず語りをこっそり盗み聞きして知った、昔々の哀切な言い伝え…
などなど。

昨年のゴールデンウィークには憧れの遠野を訪問しまして。霧に霞む早池峰山を眺めたり、河童淵ではしゃいだり(大人なのに・・・)、オシラ堂(馬と少女の人獣婚を起源にもつ養蚕の神オシラさまを祀ってある)では、すんごい数(そして古い)の祈念雛の濃い空気にあてられたり…。
ちょっと足を伸ばして花巻で宮沢賢治の世界にも浸ってきました。
ポランの広場は静かで、白樺の木立の美しさにうっとりしました…。

そして!びっくりしましたね~。なにがって、涼しくて!
5月といえば、福岡ではもう湿気がムンムンしているのに、この北国の爽やかさはどうよ!って感じで…あっ、怪談でしたね!
そうそう、怖い話ね(^^;)ゝ

『遠野物語』でも重要な部分を占める<神隠し>は、特ににきあが惹かれるところ。
日本の原風景もさることながら、実話の童話『ハーメルンの笛吹き』にも共通する謎の深さに、想像力を刺激されますね~。
阿部謹也氏の著作『ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界―』で詳しく論じられていますが、そこに中世の少年十字軍の神秘性を思わせるものがあって…あ、怪談怪談、そうでした(^^;)ゝ
(ちなみに、三島由紀夫の短編『海と夕焼け』は、消えた少年十字軍のその後を思わせるお話で、興味深いですよ)

ウォーミングアップで『遠野物語』を読破したら、次は小松和彦氏の著書『怪異の民俗学〈1〉憑きもの』へ。
旧い伝承と一笑に付してしまえばそれまでですが、各地から集めた「憑きもの」話で好奇心をかきたてられたり、目からウロコの論説で「へ~」と頷いたりと、存外、面白いもんですよ。日本再発見!

怖い部分もちゃーんとあります。
憑依感応型の二人組精神病、これはとある霊媒師とそのクライアントの関係を言い表しているんですが、

<必ずしも人間の意図どおりには成就しないことを祈願して掴み取ろうとしている。つまり神を自分の側に引き寄せ、働かせようとしているわけである>

人間の欲望って、本当に怖ろしい。なんだろう、この貪欲さ。
モノに「憑かれる」というのは、精神の状態に深く関わっているわけで、ひどくなると精神分裂症に罹りかねない。というか、罹ってるからこそ「憑きもの」?
人の心の闇、アルトー風に言うと「深淵」を覗き込むような感じがして、肝が冷えます。

そんなの怪談じゃないって?確かに(苦笑)
でも、オバケより妖怪より一番怖いのは人間だって、誰が言ったか覚えてないけど、にきあはこの意見に深く同意する熱帯夜の徒然でした。

おまけ・・・
でも、一番怖かったのはね・・・
例の遠野めぐり旅の写真データ、パソコンが壊れて、全部消えてしまったことだよ・・・
バックアップ、とってなかったんだよ・・・
きゃーーーー!!

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